エンジンに取り込まれる空気は、吸気系統と排気系統を通り、バルブの開閉により燃焼室を出入りします。空気が吸気管と排気管を通過する際に、空気流はバルブ形状やシート・アングルに起因する開口部の曲率または半径による影響を受けます。ビクターアビエーション社の技術者は、特殊仕様の装備を用いて手作業でこれらの開口部の形状を整えて、空気流入経路への改善した曲率半径と組み合わせることにより、空気の流れとベンチュリー効果を向上させます。
複合角バルブとシート・マッチングは、空気流をより能率的にするために非常に有効です。そもそも、航空エンジンは、ずっと以前には高い技術を持つ職人が手作業によって、バルブ・エッジを段階的に削って複合角バルブを作っていました。しかし、大量生産を図るためには職人確保の問題が大きく、工程の簡略化を余儀なくされ、現在ではエンジンメーカーから出てくるバルブのエッジは直線状に研磨されており、吸排気の効率が低くなっています。ビクターアビエーション社では、ブラック・エディションV とリミテッド・エディションVI のバルブには3段階の複合角を、XR ブラック・エディションVII のバルブには5段階もの複合角をつけています。
この結果、スロットル・レスポンスが強化されると共に、エンジン性能と燃費の向上も得られます。