よくあるご質問

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一般的なご質問

ビクターアビエーションとは、どんな会社ですか?
航空ピストン・エンジンのオーバーホールや修理を行う会社です。
通常のオーバーホール作業に加え、独自の技術を盛り込んだ極めて高品質なオーバーホール作業を得意としています。非破壊検査のプロ集団でもあり、その技術力が高く評価されてNASA、Boeing、大手自動車メーカー等への技術協力も行っています。社長のビクター・スローン氏はこの分野のオーソリティーで、大学で教鞭もとっています。1974年の創業以来、高い品質にこだわって技術を蓄積した結果、今や“Power-By-Victor” のブランドは、世界的にも有名になりました。
→詳しくはVictor Aviation社についてをご覧下さい
“Power-By-Victor” オーバーホール・エンジンの特徴は?

振動減少、出力向上、レスポンス向上、燃費向上、耐久性向上、快適性向上、故障率低減、長寿命化、エンジン外観の美しさ、そして機体の査定額向上といった様々な特徴があります。時計に例えるなら、マイスターによって丁寧に調整された、最高級の精密機械式クロノグラフ。ビクターアビエーションで組み上げたエンジンには、1974年の創業以来、ただの1機も空中停止したものがありません。

オーバーホールにはどんなグレードがありますか?

日本市場には、4種類のプランをご提示します。

「アビエーター・シリーズ」は、標準的なオーバーホール基準に基づいたプランで、これはコスト重視のお客様向けのオーバーホールです。これには、上級プランの工程を、お好みに応じて個別に追加施工することもできます。

「ブラック・エディションV」は、ビクターアビエーション独自の技術を投入した主力のプランです。このエンジンで、”Power-By-Victor” が世界的なブランドとなりました。

「リミテッド・エディションVI」と「XRブラック・エディションVII」は、さらにその上位のプランです。これらは、徹底的な非破壊検査による部品選別を行い、さらに部品に残留するストレスを除去した後に組み上げる、こだわりの最高峰のエンジンです。

航空エンジンを改造したり、チューン・アップするのですか?
いいえ。航空エンジンは、航空法によって承認された仕様と範囲内で製造整備運用されなくてはいけませんので、レーシングカーのエンジンのように強度を犠牲にして極限まで性能を引き出すような改造はできません。ビクターアビエーションでは、徹底的な非破壊検査による部品の選別、相性の合う部品同士の組み合わせ、運動部位のバランス調整、研磨を中心にした精密な調整加工、腐食防止等の作業を行い、エンジンが本来持つにもかかわらず今までは眠っていた潜在能力を全て引き出すための調整を行います。
ビクターアビエーションの作業内容は、航空局に認められますか?

もちろんです。ビクターアビエーションは、米国連邦航空局(FAA)認定のリペア・ステーションです。様々な検査や工程には、全てFAAからの認定を受けています。ビクターアビエーションの歴史は、新技術の開発とそれに対するFAAの認定を受けることの繰り返しで成り立っています。日本への製品出荷に際しては、国土交通省航空局(JCAB)が求める公式書類(FAA Designated Airworthiness Representativeの署名付きのもの)を発行して耐空検査、修理改造検査の準備を行います。

日本の取引窓口はどこですか?

私ども、アエロセンシング(株) と、つくば航空(株) が協力して日本の皆様のお世話をさせて頂きます。

つくばヘリポートでエンジンの脱着・梱包・出荷作業が可能な他、お客様のベース空港の格納庫へのエンジンの集荷、オーバーホール済みエンジンの配送もさせて頂きます。お客様の基地におけるエンジン脱着作業については、床面積、施設・工具の配備状況により、作業可能かどうかをその都度確認させていただいてプランのご提示をさせて頂きます。

ビクターアビエーションとほかのオーバーホール・ショップの違いは?

追及する品質のレベルに大きな違いがあります。非破壊検査、部品選別、部品調整とマッチング、特殊加工がビクターアビエーションの作業の特徴で、通常のショップでは実施することができない工程が数多くあります。このために、最高レベルの技術者達を在籍させています。

通常のオーバーホール・ショップでは、メーカーから納品された新品部品を良品としてそのまま使用します。再利用部品についても、マニュアルに定められた検査のみを行い、エンジンを組み立てています。仕上がるエンジンには、当然「あたり・はずれ」が出てしまいます。

事業機なので、コスト優先で考えたいのですが?

オーバーホール作業のコストだけを比較するのでなく、ぜひとも、その後の経済効果もご考慮ください。例えば、故障・修理となれば、休航期間の売り上げが減少します。タイムアップするまでの間、途中でシリンダー等の高価な部品を何度か交換しなくてはならなくなるようであれば、部品代もかさみタイムアップするまでの実ランニングコストはかなり高くなります。部品代節約、整備作業時間短縮が必要であり、そして何より休航でビジネスチャンスを逸失できない事業機にこそ、ブラック・エディションV以上のプランをお試しいただきたいと考えます。

“Power-By-Victor” のエンジンは、機体の査定額にどう影響しますか?

米国の中古機の査定を行う際によりどころとなる資料が「ブルーブック」です。

ここには、ほとんどの型式の飛行機やヘリコプターの査定額が、年式や残年数・残時間によって割り出せる情報が記載されています。ブルーブックには、ブラック・エディションやリミテッド・エディションの ”Power-By-Victor” オーバーホール・エンジンを搭載した場合の査定額が上昇することが明記されています。

オーバーホール金額が安いショップは問題があるのですか?

航空局からリペア・ステーションの認定を受けているショップは、最低限の基準を満たしているため問題があるとは言えません。しかし、技術者のレベルと使用部品の品質管理体制には、各社間に大きな差が見られます。

エクスチェンジの場合でも、どのようなコア(もととなるタイム・アップしたエンジン)を使って誰がオーバーホールしたのかにより、品質が大きく変わります。低品質のコアを使用したオーバーホール・エンジンは「はずれ」となる可能性が高くなります。

一般的に、エンジンのオーバーホール価格は、そのショップの評判に比例したものとなっています。日本のお客様がエンジンのオーバーホールを検討される場合、実際に作業を行う海外のショップを自ら指定することができないケースが多いと思います。

コスト優先でオーバーホールやエクスチェンジを検討する際には、十分な注意が必要です。

自分のエンジンをオーバーホールするのとエクスチェンジするのでは、何が違いますか?

長く使用したエンジンは、品質が良いものであればなおさら継続して使用したくなります。オーバーホールは、一定の作業期間フライトが出来なくなりますが、ヒストリーのわかっている、愛着のあるエンジンを継続使用できるというメリットがあります。

一方、オーバーホール・エクスチェンジは、同型のオーバーホール済みエンジンを別途購入して、自分のタイムアップしたエンジンを「コア」として下取りに出す方法です。この場合、運休期間を大幅に短縮できますが、エンジン自体は別の個体に入れ替わります。

オーバーホールにかかる日数はどれくらいですか?

型式やエンジンの状態によりますが、アビエーター・シリーズで全く修繕が必要ない場合は、米国内の作業期間は約3週間です。これにデリバリーや通関の日数が加算されます。ただし、修理作業が発生した場合は、その分だけ工期が長くなります。エンジンは、受領後すぐ分解点検され、作業予定期間と必要金額が算定されます。上位プランのエンジンほど作業日数がかかり、XRブラック・エディションVII の作業期間は5~6週間です。

オーバーホール・エクスチェンジの場合は、お客様のエンジンがタイムアップする前に、同型のオーバーホール・ニュー・エンジンを準備させていただきますので、航空機の休航期間が大幅に短縮できます。

技術的なご質問

“Power-By-Victor” のオーバーホールによって、新品のエンジンと同じ性能を取り戻せますか?

新品の状態を越える品質を提供するのが、ビクターアビエーションの目標です。

多くのエンジンには、所謂「あたり、はずれ」があります。たとえ「あたり」の新品エンジンでも、カタログ通りの最大推力を出せる個体はほとんどありません。エンジン内部の各種運動部品の質量のばらつき、シリンダーが発生する出力のばらつきなど、新品のエンジンであっても調整の余幅がたくさんあります。ビクターアビエーションは、徹底的な調整で全てのエンジンの品質改善を図ります。

運航規程の限界事項にある最大出力以上の馬力が出せるようになるのですか?

いいえ。航空機は、運用限界を越えて運航することは許されません。

しかし、ここで重要なことは、新品のエンジンでもほとんどの場合、カタログ通りの最大出力を発揮できていないということです。ビクターアビエーションは、独自のオーバーホール技術により、エンジンの潜在能力を100%引き出すための努力をいたします。上昇した出力は、余剰馬力として温存できます。つまり、上昇性能、高高度性能が良くなる形で出力上昇分を有効活用できるのです。さらに、出力が上昇して余裕が出たエンジンは、通常運航の出力設定で運転した場合の燃料消費量が少なくなります。このため、航続可能時間が若干長くなります。

部品の非破壊検査とは、どんな作業ですか?

電気、磁気、染料、超音波、振動、温度等を駆使して、部品の表面だけでなく内部を精査します。

工場から届いた新品部品でも、内部に隠れた小さなひびや空洞が見つかることがあります。たとえメーカーの品質基準をクリアしたものであっても、ビクターアビエーションでは、非破壊検査で問題が見つかった部品をメーカーに返品して最良品のみを使用します。

新品部品でも使えないことがあるのですか?

メーカーから届く新品部品であっても、ビクターアビエーションは受領検査の結果、自社基準に合致しない部品をメーカーに返品して交換部品を納品させます。返品された部品は、メーカー側から見れば良品なので、再度販売されて市場に出て行きます。一方、多くのオーバーホール・ショップでは、新品部品を良品として扱いますので、明らかな初期不良品を除いては納入された部品をそのまま使用しています。

部品の重量バランスをとるためには、どのような作業をしますか?

例えばピストン等の左右対称の動きをする部品は、質量が同じでなくてはなりません。ところが、メーカーから納品された時点では最大十数グラムの質量差があります。そこで、まずは大量の部品の中から質量の極めて近いものを抽出します。次に、強度的に問題のない箇所を研磨して、質量を微調整します。多くの場合、バリや表面の研削跡をきれいにする作業で0.1g以下の調整を行います。

部品の質量を揃えるだけで、バランス調整が完了するのですか?

いいえ。運動体のバランスは、物体の質量、運動距離と方向、運動速度の積で考えなくてはなりません。運動エネルギーを揃えることがバランス調整なのです。複雑な動きをする部品や大きな部品になると、部品単体の質量を等しく調整するだけではだめです。良い例がコネクティング・ロッドです。この部品のピストン側は往復運動を、クランクシャフト側は回転運動をしています。従って、ロッド両端の質量分布が似通っていて且つ全体の質量が同じロッドを気筒の数だけ揃えて、エンジンを組まなくてはいけません。さらに、ロッドを取り付けるためのボルトやワッシャー、ピン等も重量バランスを取る必要があります。ボルトやワッシャーにも質量差があるからです。これらの作業は、まるでパズルのようです。

残留ストレスとは何ですか?

部品が加工される過程では、しばしば材質の分子構造に力がかかって格子構造が歪んでしまいます。例えるなら、正方形の格子が平行四辺形に変形するようなイメージです。部品に残留ストレスがあると、本来の寿命を待たずして変形や破損が発生します。このストレスを除去するには、温度変化や振動を与えることが有効ですが、温度変化の幅や時間、振動の周波数と時間等の加工サイクルは、材質や大きさによって変えなくてはなりません。ビクターアビエーションでは、膨大な実証値をもとにコンピュータ制御の工程管理をしています。

空気流量の効率化とは、どんな作業ですか?

例えば6気筒エンジンの場合、シリンダー容積が6本とも同じであっても、吸排気管の長さや曲がり具合、両端のシリンダーと中央のシリンダーの熱膨張の差等の影響で、各シリンダーに取り込まれる混合気の体積は同じにはなりません。この結果、各シリンダーがバラバラの出力を発生することになり、振動が出てしまいます。

ビクターアビエーションでは、シリンダーの選別、位置の入れ替え、バルブ系列の精密調整や吸排気管内壁の研磨等を行い、全シリンダーが常に同じ出力を発生するように調整します。

なぜ、ビクターアビエーションではエンジン塗装や部品の表面加工にこだわるのですか?

金属部品にクラックが入る場合、多くの場合、腐食などの表面劣化部位、穴あけや切断、切削による研削跡から損傷が始まります。わずかな傷や腐食でも、時間の経過とともに甚大な損傷を引き起こす可能性があります。このため、金属の表面処理には特別な注意が必要となります。金属表面の研削跡は、非破壊検査のデータ精度を悪くする要因でもあり、丁寧な表面処理を行うことは品質管理上の観点からも、極めて大切なことなのです。

また、ギア等の駆動部品は、表面加工によって潤滑油膜の乗りが良くなり、摩耗を軽減し、損傷を防止することができます。

ブラック・エディションV 以上のエンジンに用いられる塗料は、表面保護の目的の他、放熱効果を上げる役割も果たしています。ブラック・エディションVの塗装は、無塗装のアルミ表面の実に13倍の放熱効果を有し、高いエンジン冷却効果を誇っています。

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