プラン紹介

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クライオジェニック液体窒素処理による金属ストレス除去

部品に残存するストレスを軽減してエンジン性能を向上させるために、ビクターアビエーション社は他に類のないFAA認定の作業工程(特許出願中)を用いて部品加工をしています。
この工程では、華氏-300度から+300度の600度に及ぶ温度幅で極めてゆっくりと部品を冷却・加熱します。この作業は、コンピュータによって管理される真空断熱機構付のクライオジェニック加工容器の中で行います。部品には、リアルタイムで残留ストレスの強度を測定するためのEMAT超音波モニタリング装置を取り付け、液体窒素を使用して部品温度を変化させながら、温度変化に伴う音波の反響の動向を記録して行きます。こうして部品の材質内部に存在する残留ストレスが、温度変化によって除去される様子を確認していきます。このEMAT超音波モニタリングでは、材質のボリューム変化量を測定することによって、不適切な切削工程または熱処理工程を経たことによる残留ストレスを持つ部品を選別することができます。この工程をクリアした部品を使用することにより、エンジンの寿命が延び、燃費が向上し、さらにエンジン性能がアップします。

近年、金属の強度に関する研究が進み、金属強度は単にその材質に依存するのでなく、温度管理で大きく変化することがわかってきています。この工程によって金属分子の格子構造が変化し、部品に残留しているストレスが除去され、強度に大きな変化が現れます。最大強度を引き出すための冷却・加熱の温度幅、サイクルは金属の種類や大きさによって異なります。ビクターアビエーション社では、過去10年以上にわたって航空機部品に用いられるありとあらゆる部材のクライオジェニック加工試験を行い、膨大なデータを収集しました。

製造メーカーから検品済みの良品として出荷されている部品でも、この工程を経ることにより約4%が残留ストレス過多と判定されます。残留ストレスが大きすぎる場合、クライオジェニックでストレス除去を行うことによって部品がわずかに変形することがあります。変形が発生した場合、その部品は廃棄され、クライオジェニック加工を施した別の部品と交換されます。